こんにちは。導入事例制作の戦略設計〜取材・ライティングを専門としている、松戸あつしです。この記事では、導入事例制作時の効果的な戦略の立て方と、企画〜取材〜記事執筆の全行程で押さえるべきポイントを、独自ノウハウをまじえて解説します。
企業の購買担当者の65%がサービス検討時に、サービス提供企業(貴社)のWebサイトで導入事例をもっとも重視している、と言われている現代。導入事例を「ただのコンテンツ」では終わらせず、「営業の強力な武器」にすることで、受注数や商談成功率が上がることは必然です。
「導入事例を制作したいけど、効果的な作り方がわからない」
「既存の導入事例記事が良いものなのかどうか、判断がつかない」
「どのような編プロや個人に依頼すればいいかわからない」
とお悩みの企業様。ぜひ当記事を参考にして、訴求効果の高い導入事例を制作する際のヒントにしていただければ幸甚です。
(尚、導入事例は見込み顧客からのWeb検索だけでなく、営業担当者様が商談時に活用しやすくすることも重要と考えています。その方法も解説。)
導入事例制作の一般的プロセス・戦略的プロセスの違い

まず最初に、一般的な導入事例の制作プロセスと、当記事全般で解説する、戦略的な制作プロセスの違いを紹介します。一般的なプロセスでは、導入事例は単に「コンテンツ」になりがちです。しかし戦略的プロセスにより、24時間働く「強力な営業武器」になり、訴求効果が格段に高まります。
数多くの類似サービスが生み出されている現代。その中で見込み顧客が求めているのは、「似たような他社の事例」ではなく「 自社と同じ悩みを、同じ機能で解決した事例」です。後者のストーリーを戦略的プロセスにより伝え、見込み顧客の購買意欲を高めましょう。
まず、以下が一般的なプロセスです。
1-1. 読者の人物像を、ある程度決める
1-2. 取材に必要な最低限の情報(サービス・取材先)を収集し、定型的なヒアリングシートを作成
(1-3. 場合により、取材先以外の関係者と事前ブリーフィング)
適宜深堀りしつつ、基本的にはヒアリングシートに沿って回答を回収。その内容をもとに執筆。
以上のように一般的な導入事例の制作では、ある程度の読者像を決め、取材・執筆に必要な最低限の準備をします。
次に、訴求力の高い導入事例を制作するときのプロセスを紹介します。
サービス内容や競合、導入先の業務や業界について、時間をかけて網羅的にキャッチアップする
2-1. 今のサービスシェアや営業課題に合わせて、制作する記事パターンを決める
2-2. ペルソナを設計する。作り方は、状況に合わせて【ペルソナ先行型】【事例先行型】のどちらかを選択
3-3. ペルソナの「悩み」に対する「普遍的な解決ロジック(=線)」を、取材対象の「固有の課題(=点)」から見つけ出す
3-1. 見出した「解決ロジック(線)」を裏付ける回答を引き出すための「戦略的ヒアリングシート」を作成する
3-2. 設計した戦略をもとに、取材先以外の関係者と事前にブリーフィングして、認識をすり合わせる
取材対象と調和しつつ、ペルソナの立場に立って踏み込んだ質問を投げかけて回答を引き出す
コピーライティングやストーリーテリングを用いて、「ターゲットが自分事として没入する」内容にする
ターゲットの変動に合わせてベンダーコメントをアレンジ(訴求アングルを調整する)
※「線」や「点」の意味は当記事の中盤で解説。ここでは一旦、「こんな流れがあるんだ」ということだけ把握いただければ幸いです。
戦略的プロセスで制作することで、狙ったターゲットのインサイト(潜在ニーズ)を的確に訴求。商談確度の高いリード(ホットリード)の獲得が可能になります。

導入事例を戦略的に制作する副次的メリットとして、顧客インサイトや隠れたベネフィット、営業時に活用できるパワーキーワードが見つかる可能性もあります。そこから、ビジネス面の価値筋を見出せる場合も。
逆に、戦略的プロセスではない場合、事前に固有課題や普遍的ロジックの考察をしていないので、取材してもインサイトなどを深くまで見い出せません。「普遍的ロジック」と「固有課題」については、以下項目で解説しています。
>>3-3. ペルソナへの「普遍的な解決ロジック(=線)」を「固有課題(=点)」から見い出す
STEP2以降に進むために、明らかに必要な『STEP1:徹底リサーチ』の説明は割愛。『STEP2:戦略設計』から順に解説します。
STEP 2:【戦略設計】


ホットリードにつながりやすくする導入事例の戦略設計を、以下の3ステップで解説します。
2-1. 自社のフェーズに合わせて、制作する記事「勝ちパターン」を決める
2-2. ペルソナの設定――【ペルソナ先行型】【事例先行型】のどちらかを選択
2-3. ペルソナに対しての「普遍的な解決ロジック(=線)」を、取材先の「固有の課題(=点)」から見い出す
2-1. 自社のフェーズに合わせて、制作する記事の「勝ちパターン」を決める
意図している・していないに関わらず、大きく以下の3パターンに分かれて、各企業様は導入事例を制作しています。
・パターン①:【権威性重視】 取材したクライアントのネームバリューを活用
・パターン②:【課題解決重視】 「深い悩みを解決した」で共感を得る(ストーリー・ロジックの活用)
・パターン③: あまり考えず、ひとまず導入事例を量産
※もちろん、パターン①とパターン②を兼ね備えている導入事例もあります
①は、取材対象(既存クライアント)が業界・世間的に著名な企業の場合に有効。知っている企業名がパッと目に入り、「あの企業も導入しているのか」と、ついクリックしたことは誰でもあると思います。
これは心理学でいう『社会的証明』と『権威性』が働き、興味や安心感を喚起している状況。自社サービスの市場シェア率がすでに高く、さらに顧客層を広げたい場合に選ぶとよいでしょう。
一方で、スタートアップで、既存の顧客層(業種・規模など)がまだ多くない場合は、パターン②をおすすめします。まだ権威性などがない場合、ターゲットを絞り、「本質的な課題解決」や「提供側の姿勢」を伝えて、心を掴むアプローチをするほうが効果的です。(心理学的には、『好意』『一貫性』『希少性』を働かせます)
導入事例の効果もあってサービスシェアが拡大してきたら、パターン①+パターン②の両方を併せ持つ導入事例を制作しましょう。さらなる受注顧客層の拡大が見込めます。



権威に頼らない導入事例を早い段階で制作することで、長期にわたり「ターゲットに深く訴求できる営業資産」になります。
パターン①の『権威性重視』は幅広い購買担当者への、最初のフックとして有効。パターン②の『本質的な課題解決』は、ターゲットを絞る必要はあるものの、初手〜クロージングまで有効です。
ただし、パターン②で制作する場合、ソフト・ハード面の両方で訴求する必要があります。そのため、「制作の負荷が高い」とも言えます。
見込み顧客からの導入事例の閲覧を待つだけでなく、「商談時に該当する導入事例を見せる」という営業フローもおすすめです。次に、ペルソナ設定の重要性について解説します。
2-2. ペルソナの設定――【ペルソナ先行型】【事例先行型】のどちらかを選択


導入事例をパターン②で制作すると決めたら、次に「誰の課題を解決する記事にするか(ペルソナ)」を設計します。
顧客ターゲットが企業規模、業種、エリア、役職などの「属性」とすると、ペルソナはたった一人の人物像の心理や価値観まで掘り下げた「架空の個人」です。ペルソナを設定することで、提供サービスに対して「どう感じて、どんなメッセージが響くか」をより具体的に、人間味のある視点から判断できます。
できれば、今注力中のターゲットの中で、すでに接点のある購買担当者などをイメージして設定すると、より効果的です。ペルソナ設定は軽視されがちですが、訴求力を高めるために重要な工程です。
具体的な人物像が現地点でない場合は、提供サービスの利用により得られるベネフィットから逆算して、ペルソナを設定しましょう。ベネフィットという基軸を考慮しないままペルソナ設定すると、誰にも届かないか、意図していないターゲットへの訴求になってしまいます。
ペルソナ設定は、状況に合わせて、以下の2パターンのどちらかで進めることをおすすめします。
- パターンA:【ペルソナ先行型】 先にペルソナを設定 → 取材先を決める
- パターンB:【事例先行型】 先に取材先を決める → 逆算してペルソナを設定する
パターンA:【ペルソナ先行型】
ペルソナ先行型とは、先に「本当に獲得したい顧客像」を明確にして、理想のペルソナを徹底的に作り込む方法です。ペルソナを作り込んだ後に、そのペルソナに最も近い取材先を探します。
企業様は、今注力中のターゲットを決めていると思います。ペルソナ先行型では、そのターゲットにダイレクトに訴求する導入事例を制作できます。
もし、ドンピシャの取材先がなくても、「この顧客のこの部分なら、ペルソナの悩みに重なる」という要素を見つけ出し、その部分を深く掘り下げるストーリーを作ります。
パターンB:【事例先行型】
事例先行型では、まず取材先を決定。次に、その取材先が解決した課題や企業特性、刺さった機能など(=点)を徹底的に分析します。それらの情報をもとに、他業界・業種にも通じる「普遍的な課題(=線)」を見い出します。この「普遍的な課題」に該当するペルソナを、逆算して設定します。
注力中ターゲットにダイレクトに訴求できるパターンAが理想ですが、取材できる顧客は限られている場合があります。その場合は、「普遍的な課題」を見出してからペルソナ設定する、事例先行型を選択しましょう。逆算してペルソナ設定すると、「結果的に注力中ターゲットへの訴求になった」ということも起こります。



導入事例の面白いところは、「企業戦略」単位ではなく、一記事ごとに訴求先ターゲット・ペルソナを変えられること。
将来的なターゲットなどを含め、複数のターゲットごとに、訴求力の高いものを制作できます。前もって備えとして制作することで、顧客獲得のチャンスが広がります。
ここまで、ペルソナ設定のパターンについて紹介しました。
しかし、導入事例とは既存顧客へのインタビュー記事。パターンA・Bのどちらであっても、「ペルソナに合う回答を引き出せるのか?」という疑問がつきまといます。結論からお伝えすると、「可能ではあるが、ロジックをつくる必要」があります。
次の項目からは、そのロジックの作り方を解説します。
2-3. ペルソナへの「普遍的な解決ロジック(=線)」を「固有課題(=点)」から見い出す


ペルソナを決めたら、いよいよ記事の構成案(ロジック)を作ります。 直前の事例先行型の説明でも少し触れましたが、ここで意識すべきなのが、当記事の核となる「点→線→面」の法則です。「点・線・面」は以下のように定義します。
点:取材対象独自の、個別具体的な課題
(例:取材先が「医療機器メーカー」で、医師への営業に苦戦していた)
線:他社にも通じる、普遍的な課題及び解決手段
(例:業界問わず通じる「属人的な営業勘をデータ化する」というロジック)
面:線を通すことでアプローチ可能になる、広い顧客ターゲット層
(例:医療業界だけでなく、同じ悩みを持つ「広告・コンサル業界」までターゲットを広げる)
導入事例の制作において多くの場合、「点」の個別課題への解決のみの記載で終わってしまいがちです。すると、取材先とは異なる業界・業務の人たちは、「自社には関係ない」と考えて読みません。読んだとしても、自分ごとに感じず訴求できずに終わります。
そこで、「点(個別課題)」を、「線(ペルソナにも共通する課題及び解決)」へ昇華することで、初めて記事は「面(広い・狙ったターゲット)」に届く武器になります。多くの導入事例は、「点」の記載はあるが「線」はないパターン。「点」と「線」の両方を意図的に両方を入れることが重要です。
わかりやすく、「SFA(営業支援システム)を導入した医療機器メーカー」の事例を、「広告代理店やコンサルティングファーム」向けの記事とした場合。全く異なる業界の購買ユーザーはどのように心を動かされ、問い合わせに至るのか(=面への広がり)を解説します。
※以下の例は、ターゲット・ペルソナを設定した後の前提です。ペルソナなくして「線」・「面」は作れません。
前提:
- 導入したサービス: 営業の「勝因」を可視化する高機能SFA
- 点(個別課題): 将来のベテランの退職による、顧客・売上の消滅を懸念中の医療機器メーカーの事例
- 線(普遍的ロジック): 顧客が口にしない「選ばれなかった本当の理由」の可視化
- 面(広がるターゲット): 広告代理店やコンサルティングファームなど
1. 【点】個別課題とその解決を洗い出す(特定の業界の深い悩み)
まず、取材対象である医療機器メーカーの「個別の解決事例」が存在します。
- 課題: ベテランが辞めると、既存顧客(病院)との取引がゼロになる。
- SFAでの解決: 単なる「訪問記録」ではなく、「医師が検討を止める際に出す『特定のサイン(懸念点)』と、その解消法」をログとして蓄積。
- 結果: 新人でも、医師の「今は忙しい」の言葉に背景にあるのが、「予算の懸念」なのか「術式の不安」なのかを見極められるようになり、成約率が安定した。
しかし、記事にする際、この「点(事実)」をそのまま、タイトルや本文にしてしまうと失敗します。
※ここではわかりやすく、タイトルのみで説明
× NG例(点止まりの記事タイトル) 「医療機器メーカーA社がSFA導入。病院への訪問履歴を共有し、営業の引き継ぎをスムーズにした事例」
これでは… 他の業界の人は「病院営業は特殊だからね」とスルーします。
2. 【線】業界を超えた「共通課題への解決」を見出す
ここで、「これは医療の話ではなく、B2B営業における『顧客心理』に対しての解像度の話だ」と線を引くことが重要です。 読者(他業界)に見せる入り口(タイトル)と本文の一部は、「点」だけではなく、この「線」がなくてはいけません。
◎ OK例(線を通した記事タイトル) 「“センス”という言葉で片付けない。ベテランが無意識に察知していた『顧客の微かな拒絶サイン』を言語化し、営業の勝率を1.5倍にした組織改革」
記事の中身(線): 『「失注の本当の理由」をデータベース化し、組織の知能に変える』
3. 【面】異業種の見込み顧客が「自分事化」する
この「線(普遍的ロジック)」が通った記事を読んだとき、全く異なる業界である広告代理店の社長の頭の中で、化学反応が起きます。
① 認知(入り口)
「医療機器?業界は違うが、『営業のセンスを言語化する』というタイトルが気になるな。弊社もトップ営業のやり方が若手に伝わらなくて困っているんだ」
② 共感(線の発見)
「記事に書いてある『顧客の断り文句の裏側を分析する』という手法…。これは医療に限った話じゃない。 弊社がコンペで負ける時も、担当者が『企画が合わなかった』と言う裏で、実は『顧客側の決裁者のメンツ』が絡んでいたりする。そこをデータ化すれば勝てるのか!」
③ 確信(自分事化 = 面への拡大)
「このSFAは単なる管理ツールじゃない。 『顧客の心理的ハードルをどう越えるか』の攻略本を作るツールだ。 これは弊社の代理店ビジネスにこそ必要だ!」
4. 【ダメ押し】 顧客の声で「検討の土俵」に乗せる
ここで読者は強く惹きつけられますが、同時に「でも、特殊な機能ばかりで、普段使い(日報や予実管理)は使いにくいのでは?」という不安も抱きます。
そこで、インタビューの後半で意図的に「基礎機能(網羅性)」への評価も、取材対象から聞き出し、記事の締めに配置します。
★ インタビュアーの質問意図:「尖った機能(NOの理由分析)の良さは十分伝わった。次は、検討者が懸念する『汎用性』を潰すために、あえて地味な『使いやすさ』について聞こう」
▼ 記事の結び(顧客の声で安心させる)
インタビュアー:「高度な分析ができることはわかりましたが、ITに不慣れな現場の方の反応はいかがでしたか?」
取材先クライアント(医療機器メーカー):「実はそこが一番の驚きでした。分析機能もすごいですが、日報入力やスケジュールの画面が、スマホで直感的に操作できます。 多機能なツールは難しいイメージでしたが、これならベテランも若手もストレスなく『毎日の道具』として使えています。だからこそ、自然とデータが集まるようになったのです」
読者の心理変化:
「なるほど。尖った分析ができるのに、基礎的な使い勝手もいいのか。 それなら、今のツールから乗り換えても現場は混乱しないな。 よし、一度問い合わせてみよう。」
結末:お問い合わせ(受注)
このように、「線(尖ったロジック)」で心を掴み、最後に「顧客の声(網羅性への評価)」で背中を押す。 この2段構えのインタビュー構成が、読者を「共感」から「検討」へと進ませる鍵になります。
以上のように、「点(顧客固有の課題)」→「線(普遍的課題への解決)」→「面(受注顧客の広がり)」へとつなぎます。



もちろん、取材先や扱うサービス・業界によって、内容や訴求力の変動はあります。しかし、このように戦略的に制作することで、ターゲットに対し、「ただのコンテンツ」よりも遥かに訴求力のある導入事例にできます。
ここまで、ターゲット・ペルソナに導入事例で深く訴求するためのロジックや、ペルソナ設計の重要性・方法について紹介しました。次に【取材前準備】で一つである、「戦略的ヒアリングシートの作成」ついて解説します。
STEP 3:【取材前準備】


ここでは、STEP3のうち、『3-1. 見出した「線」を引き出すための「戦略的ヒアリングシート」を作成する』について紹介します。この工程を経ることで、取材先から「線(普遍的課題・解決ロジック)」を引き出しやすくなります。
3-1. 見出した「線」を引き出すための「戦略的ヒアリングシート」を作成する
ヒアリングシートの作成とは、取材先への質問内容を事前に決めることです。一般的に、「深堀りできる質問」を考えて作成することは多いです。しかし、「点(個別課題&解決)」→「線(普遍的な課題&解決)」のロジックまでは意図しません。
ペルソナに刺さる回答を得るために、「点」→「線」に回答がつながるようにする、戦略的ヒアリングシートにチャレンジしてみましょう。この時点でペルソナをしっかり設計していると、ペルソナが抱える「具体的な悩み」、への解決につながる質問を作れます。
例えば、先ほどの医療機器メーカーへのSFA導入事例で言うと、以下のような違いを生み出せます。
✕普通の質問:「導入前の課題と、SFAで解決できたことは何ですか?」
→個別ケースのみの回答で「点」止まり
◎深掘り質問:「ベテランだけが直感していた『忙しい=予算不足』という見えない“拒絶サイン”を、SFA上で具体的にどのように言語化・データ化して、若手に共有できるようにしたのですか?」
→他業種の課題にもつながる「線」の回答を引き出せる
ただし、取材相手に対して、強引に「線」につなげようとするのはナンセンス。あくまで「点」の延長で「線」につながるように配慮しましょう。そのためにも、事前の情報収集・分析、戦略設計は重要です。



取材時間が1H前後の場合、簡単なものもまじえて、質問を8つ程度作っておくと安心できます。
戦略的ヒアリングシートを作成し、必要に応じて関係者とブリーフィングしたら、いよいよ取材の段階です。
STEP 4:【取材】


取材フェーズにおける以下の項目について、解説します。
4-1. ペルソナを常に意識し、気になるポイントを深堀りする
4-2. 深堀りするには、サービス・業界・業務内容の一定以上の知識が必須
4-3. カメラの問題(むりに一眼レフで撮ろうとしない)
4-1. ペルソナを常に意識し、気になるポイントを深堀りする
取材中には、ペルソナや自社、取材先企業など、さまざまな立場を考えて質問や立ち振舞をしなければいけません。しかし、考えすぎて冗長的な質問・記事になってしまうと本末転倒。まずは、訴求力の高い導入事例の制作を目指して、取材中には「ペルソナへの悩み解決」を第一に意識しましょう。
ある意味ペルソナを自分に憑依させた状態で、ペルソナの立場に立って、踏み込んで質問していきます。ここでも、しっかりとペルソナを設計していることが、具体的な質問をするために功を奏します。逆にペルソナ設計していないと、冗長的かつ「点」で終わる導入記事になってしまいます。
深堀りのある質問をするほど、一つの質問と回答にかかる時間は長くなりがちです。その場合は、時間制限を考えてむりに切り上げなくてもOKです。



その後の重要度の低い質問を飛ばす、またはさらっと終わるようにファシリテートして調整しましょう。
深堀りした結果、もしペルソナに効果的な「線」が見つからなかったとしても、焦る必要はありません。調整できる可能性があります。やり方は【STEP 6:運用】をご参考ください。
4-2. 深堀りするには、サービス・業界・業務内容の一定以上の知識が必須


取材は、ただヒアリングシートに沿って質問するだけではありません。アドリブの質問やコミュニケーションも求められます。ヒアリングシートの内容から会話が脱線することは当たり前。脱線した会話に、取材相手の本音や熱量の高さが現れることもあります。



臨機応変にコミュニケーションを取りつつ深堀りするには、サービスや、ペルソナ/取材先の業界・業務内容などについて、一定以上の知識を押さえる必要があります。事前のリサーチを徹底しましょう。
しかし、いくら時間をかけてリサーチしても、理解が追いつかない場合もあります。例えば「SaaS」を理解するには、「IT」という広範囲への理解が必要です。
その場合は、戦略設計や取材前準備を行ったうえで、専門知識のある人に取材を依頼するのも一つの手です。ただし、専門知識があるだけではなく、戦略面も理解してくれて、柔軟にコミュニケーションが取れる人を選びましょう。
取材相手の業界・業務の現場経験者であれば、取材相手に共感しながら聞けるため、さらに深い会話を引き出せます。
4-3. カメラの問題(むりに一眼レフで撮ろうとしない)
一般的に取材時の写真撮影というと、一眼レフによる撮影をイメージする人は多いのではないでしょうか。しかし、一眼レフによる撮影は、プロのカメラマンだからこそ通用します。カメラに詳しくない場合は、圧倒的にスマホのポートレートモードでの撮影がおすすめです。
不慣れな状態で一眼レフ撮影をした場合、ピント外れなどにより、記事作成時に使えない写真になってしまうことがあります。最近のiPhoneなどであれば、AIがピントや光の加減を調整してくれるので、品質は充分良いです。もしどうしても写真のクオリティにもこだわりたい場合は、プロのカメラマンに依頼することをおすすめします。
ここまで、取材の工程について解説しました。取材工程においては、インタビュアーのインタビュースキルによって、引き出す内容の質は大きく変化します。そこで、次に各STEPごとに必要な人物像・スキルを紹介します。
STEP1〜5で必要なスキル・取り組み姿勢


効果的な導入事例を制作するには、どうしても要望は大きくなってしまうのですが…。「理想としてはこのスキル」を、以下にまとめました。企画・取材・記事執筆の3つに分けているので、スキルに応じて役割分担もできると思います。
【STEP1:徹底リサーチ 〜 STEP2:戦略設計 〜 STEP3:取材前準備】
<必須>
- サービス/インタビュイー/ターゲット情報などを、しっかりと時間を使ってリサーチし、体系的に把握できる人
- 「点」→「線」につながるヒアリングシートを、考えて作成できる人
<尚可>
- ペルソナを設定して何かしらのアウトプットを出し、効果測定したことがある人
【STEP4:取材】
<必須>
- サービス/取材先/ターゲット情報などを、しっかりと時間を使ってリサーチし、体系的に事前把握できる人
- インタビュイーと調和できるとともに、迎合はせずに聞くべきことをしっかりと聞ける人
- 会話が想定質問の内容から外れても、その時々で効果的な質問ができる人。また、会話の軌道修正もできる人
- ペルソナの立場に立つことで、インタビュイーからの回答に対して、多くの「聞きたいこと」が出てくる人
<尚可>
- 取材先の業界・業務の現場経験者
【STEP5:記事執筆】
<必須>
- 「ペルソナの役に立つこと」を常に意識したうえで、取材音源から必要情報を抜き出し、整文化できる人
- SEO記事のような結論ファーストの書き方も、必要に応じてできる人
- ストーリーテリングの知見を持ったうえで、執筆できる人
<尚可>
- コピーライティングのスキル ※見出し作成時にほしいスキル
- コンプラへの抵触懸念や、取材先が「書いてほしくない」と思うような情報も、想定しながら執筆できる人
次に、【STEP6:運用】に付いて解説します。
※【STEP5:記事執筆】も大切な工程。しかし特に重要なのは上流工程のSTEP1〜5のため、当記事では割愛します。
【STEP 6:運用】ターゲット変化にコメントを合わせる


多くの場合、導入事例は制作したら「そのままの状態でずっと掲載」、が一般的な運用です。変更を加えることはめったにありません。しかし、サービスの普及状況などによって、顧客ターゲットは変化します。そこで、一つの導入事例を、別のターゲット向けの記事に変える運用方法を紹介します。
結論からお伝えすると、取材先にレビューしてもらった本文は変更しづらいので、貴社コメントを入れて変化をつけましょう。例えば先ほどの医療機器メーカーの例に照らし合わせると、以下のような編集後記が考えられます。
【編集後記:業界を超えた「再現性」について】
今回は医療業界特有の事例に見えますが、本質的な成果は「ベテランの『暗黙知(感覚)』を、組織の『形式知(データ)』に変えたこと」にあります。
特に、形のない商材を扱い、提案の良し悪しが属人化しやすい広告代理店様やコンサルティング企業様においても、この「顧客の言葉の裏を読むプロセスの標準化」は、組織課題を解く大きなヒントになるのではないでしょうか。 (カスタマーサクセス担当)
以上は広告代理店・コンサルティング企業がターゲットになっていますが、例えば不動産に変更し、前後の文章を調整。本文による訴求よりはもちろん劣るものの、ターゲットが読んだときに納得感は出ます。



顧客購買担当→決済者、貴社営業担当→ターゲット企業、などの経路で、サービス資料として導入事例を見せたいときに、紹介しやすくもなります。
記事の最後だけではなく、状況に応じて、記事の前半や中盤への配置も検討しましょう。また、STEP1〜STEP5の工程でペルソナへの訴求から、やむを得ず内容が大きくズレてしまった、という場合の手当てとしても有効です。
まとめ


ここまで、導入事例を「ただのコンテンツ」ではなく「営業の強力な武器」にする、戦略的な制作方法を紹介しました。体系的に各種情報をキャッチアップした後に、記事パターンやペルソナ設計の方法を選ぶ。そして、ペルソナの「悩み」に対する「普遍的な解決ロジック(=線)」を、取材対象の「固有の課題(=点)」から見つけ出します。
次に、洗い出したペルソナや「線」の情報から、戦略的にヒアリングシートを作成。取材時には「ペルソナの悩み」に焦点を当ててインタビューします。ターゲットの変化に合わせて、ベンダーコメントを変えることも効果的です。
しかし、「ここまでリソースを割けない!」と思う企業様も多いと思います。その場合は、工程ごとに役割分担したり、依頼したらしっかり対応してくれる業務委託先に任せたりしましょう。
よくある質問(Q&A)


よくある質問に対して、回答します。


この記事を書いた人
松戸あつし|戦略コンテンツ・アーキテクト。企業の「選ばれる理由」を言語化し、受注につながる導入事例を創る専門家。国内トップクラスのIT企業の役員やトップエンジニア達と渡り合った専門知見と、10を超える業界での現場経験を武器に、複雑な技術を「未来の売上」につながるコンテンツへと再設計する。リクルート元トップセールス。習い事は古武道、ワイン、生成AI。
※本記事内の画像の一部には、生成AI(Gemini)を使用して作成しています。

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